クックパッドの広告エンジニアは何をやっているのか
こんにちは、新規広告開発部の武田(@cnosuke)です。 私は、今年の7月より新規広告開発部に配属されました。
例えば花金などに、社外のWebエンジニアの人達とお酒を飲みに行ったり、ひさしぶりに大学時代の友人にあったりして 「最近はクックパッドの広告を担当している」というと、みんな「あぁアドテクね。ふ〜ん」みたいなリアクションをします。
興味があるのか無いのかわかりませんね。そんな時は、だいたい「あぁそうそう、アドテクアドテク〜」と返します。
確かに、私が所属している新規広告開発部は、いわゆる「アドテク」と呼ばれる領域のことは行ってはいますが、 そもそも「アドテク」という用語が完全にバズワード化していますので、具体的に「クックパッドの広告エンジニア」が何をやっているかをほとんどの方はご存じないのではないでしょうか。
そこで、今回はクックパッドの広告エンジニアが普段どういうことをやっているかを、ざっくりご紹介してみたいと思います。
広告もユーザさんに価値を届ける手段である
クックパッドの収益の4割は広告収入です。 広告の収益は基本的には「掲出量×単価」で決まります。つまり掲出量か単価、もしくはその両方を増やせば収益は増えますので、 単純に広告の枠をページ中に増やせばそれに応じて収益は増えると考えられます。 ではクックパッドはどうしているのか。収益のために、ただ闇雲に広告の枠を増やしているのかというと、もちろん違います。
クックパッドの広告は、昔から、ユーザさんと広告出稿企業さん、そして私たちクックパッドの3者ともが幸せになる形を模索し続けてきています。 クックパッドを通して、最終的には広告も「価値ある情報」としてユーザさんに届けば、それは広告単価の上昇にも繋がるからです。
クックパッドにはこちらの記事(サービスを通じて日々の嬉しい体験を増幅する)の中で触れられている、登場人物全員が幸せになるサービスを考えるためのEOGSというクックパッド謹製のサービス開発フレームワークが存在していて、社内で広く使われています。実は、このサービス開発フレームワークも、一番最初は広告企画を作るために使われたと聞いています。
昔から、クックパッドは広告について「ただ掲載しさえすればいい」という考えは持たず、あくまでもユーザさんに価値を届ける方法の一つとして考えてきました。 百聞は一件にしかず、具体的にはこちらのページをご覧いただければご理解いただけるかもしれません。
このような、食品系の会社さんと一緒にユーザさんにも価値がある形で広告を考える取り組みは、10年以上前からずっと続けてきています。
しかし、当然、同じ広告商品だけをずっと続けているわけではありません。 技術の進歩やビジネス環境の変化、ユーザさんの嗜好の多様化もあり、クックパッドの広告も日々進化しています。 私達エンジニアの出番ですね。
クックパッドの広告エンジニアは、おおきく分けると3つ
クックパッドの広告のエンジニアは、おおきくわけて3種類の仕事があります。
ざっくり次に説明していきます。
純広告まわりをみるエンジニア
部署的には「広告事業部」に所属するエンジニアです。
ナショナルクライアントと呼ばれる、大手の食品や生活用品のメーカーさんと弊社営業・広告企画とともに広告商品を考えて、掲出出来るようにします。
主なものとしては、前述のこちらのページに出ているようなものや、 例えばこんな感じ("豚"の検索結果)のカテゴリジャックと呼んでいるバナー広告類もあります。
カテゴリジャックは、ユーザさんにとっては、探しているレシピの文脈にあわせた広告だけが表示されるので、 広告自体が価値ある情報としてユーザさんに届き、今晩なにを作ろうか、といったメニューを考えるのに役立ちます。 もちろん、広告出稿企業さんとしては、メニューを考えて決めるタイミングのユーザさんに対して自然な形でブランディング出来るという価値があります。
このような広告商品が他にもいろいろあります。 媒体資料はこちらにあるので興味をお持ちの方は是非ごらんください。
エンジニアとしての主な仕事は、現在受け付けている広告の運用業務や、前述のカテゴリジャックのようなクックパッドらしさがあり、 ユーザさんにも価値を感じてもらえるような広告商品を新たに開発することです。
必要なものであれば新しいものもガンガン使いますし、なければ作ります。 一年前には、まだ他に例が少なかった動画広告のスマートフォンWeb上での自動再生を実現するために、 入稿されたファイルをDockerコンテナの中で専用フォーマットに変換する仕組みを作ったりもしました。
分析まわりをみるエンジニア
部署的には「トレンド調査ラボ」に所属するエンジニアです。
クックパッドには、恐らく日本で最大の日常食に関するデータがあります。 毎日600万人ほどのユーザさんがレシピを探したり、ご飯のことを考えるためにクックパッドを訪れています。 訪れてくださるユーザさんの検索キーワードに現れてくるようなユーザさんの「たべたい」という情報を日々蓄えていって、正しく分析出来る基盤をつくるのが、この領域のエンジニアの仕事です。
具体的には、クックパッドの検索トレンドを分析できる「たべみる」などのサービスを開発しています。また、「じわじわ検索頻度が上昇しているキーワードの発見」のように、 食品メーカーさんに広告企画を提案するためのデータ分析も行っています。
技術的には、Amazon Redshiftを利用した巨大バッチの構築などが特徴的です。 こちらの記事(巨大なバッチを分割して構成する 〜SQLバッチフレームワークBricolage〜)に 詳しく書かれていますので是非ご覧下さい。
いわゆるアドテクっぽい部分のエンジニア
最後に、私が所属している「新規広告開発部」のエンジニアについて書きます。
弊社にはクックパッドそのものだけでは無く、他にもみんなのカフェやクックパッド 料理動画といったサイトもあります。 こういったいわゆる本体以外のサイトに対しても統一的に広告を配信出来る基盤を整備したり、アドテクと呼ばれることの多い配信最適化といったことを、私の部署で行っています。
配信最適化のためには、前述のトレンド調査ラボと連携して、ユーザさんひとりひとりに合わせて広告が配信出来るような仕組みを考えたり、ユーザさんのクリックなどのログデータをほぼリアルタイムで活用にまわすことで、より成果が得られやすい広告の掲出比率が高まるようにしたりしています。
まだまだ不完全ではありますが、今後工夫を重ねることによって、広告もそれが必要な人だけに配信出来るようになっていけると考えています。 そもそも、ユーザさんの関心が全く無い広告が出ているということは、私達エンジニアが技術的に解決すべき問題をまだ解決できていない状況とも言えます。 先ずは私たち、担当エンジニア自身がもっとデータサイエンスに詳しくなることから初め、もっと無駄な広告が少なくなり、それぞれのユーザさんに対して適切な広告が「価値ある情報」として届くように試行錯誤を繰り返していきます。
まとめ
本記事ではあまり知られていなさそうなクックパッドの広告のエンジニアのやっていることについて、非常にざっくりですがご紹介しました。
ひとつひとつの領域がかなり広い割に、まだまだ少ない人数でやっています。もちろん、仲間を募集しています!
クックパッドのエンジニアの対外的な情報発信は、技術部のスーパーな話やインフラ部のハイパーな話、サービス開発エンジニアのウルトラな話が目立つと思いますが、 広告エンジニアもストロングだぜ!!!!ということを伝えたくて記事を書きました。伝わっていると嬉しいです。