こんにちは。サービス開発部ディレクターの新里です。
iPhoneアプリ「みんなのお弁当 byクックパッド」を担当しています。本アプリでは、自分の作ったお弁当をクックパッドのレシピ付で記録したり、アプリ内で共有したりすることができます。リリースから約1年半経ち、35万ダウンロードを超えました。今回は、サービスディレクターとして、アプリの利用者数の増加に伴うユーザーの行動の変化について、サービス開発側で実施した対応と合わせて、まとめようと思います。
1.投稿数が増加
アプリのダウンロード数の増加に比例して、お弁当の投稿数*1も増加しました。大半の投稿はガイドラインに沿ったものですが、そうではない投稿も中にはあります。
ガイドラインに沿わない投稿の増加
みんなのお弁当のガイドラインでは『外出先に持っていく食べ物のこと』をお弁当と定義しており、このガイドラインに則っていないものに関しては、投稿ユーザー宛にメールをお送りし、投稿内容について確認をお願いしています。この目視で公開されたものをチェックし、メールをお送りする運用は、リリース当初から変わらずに継続しています。基本的には、メールで連絡させて頂くと、ガイドラインの要旨をご理解頂き、誤った投稿に関しては見直していただけます。
追加で実施した対応
しかし、新しい事案として、日本語以外の言語で投稿されている方がガイドラインに則っていないケースが複数回発生しました。考えられる要因としては以下の2つです。
- 日本語のガイドラインが読めない
- 日本の文化に馴染みがなく、お弁当がどういうものかという認識が曖昧
日本国内向けのアプリなので、ガイドラインの英訳を掲載するのは見送り、日本語の読解が出来ていない可能性のあるユーザーに対しては個別に、お弁当の定義や投稿内容のご確認について記載した英文メールをお送りするようにしました。少し地道な方法ではありますが、英文メールをお送りした方々において、ガイドラインに則っていない投稿は収束したので、効果はあったと言えそうです。
2.コミュニケーションが活性化
ブックマーク機能の使われ方が変化
アプリ内で公開されたお弁当には「参考になった」ボタンを押すことができます。これは、レシピや盛り付け方法が参考になったお弁当をブックマークして、後日見返しやすくするための機能として実装したものです。 しかし、利用者数が増えることでこのボタンがブックマークとしてではなく、「いいね!」のようなライトフィードバックの意図で使われることが増えました。1人あたりの「参考になった」タップ数の推移はGoogle Analyticsのイベント数から確認しています。 またmixpanelも併用しており、こちらはユーザーが想定した通りの動きをしているか、想定外の離脱などはしていないかなどを確認するのに使っています。
追加対応は実施せず
ブックマーク機能の使われ方が変化しつつありますが、さらにコミュニケーションを活性化するための機能の追加などは行っていません。あくまで本アプリの主目的は「作ったお弁当をレシピ付きで記録・共有」であり、コミュニケーションを活性化するための機能追加に関しては、本質からずれると判断したためです。 (ただし、ブックマークの側面が弱くなっていることで不便さが出てきたり、改修が必要と判断した場合は、今後対応する可能性があります。)
3.投稿後の反響が大きくなった
トップ画面掲載への反応が変化
アプリのトップ画面には毎日お弁当を1つ運営側でピックアップして掲載しています。これは、アプリを開いた時に更新性を感じさせることと、漠然とお弁当を作ろうと思っている方へのリコメンドの意図がありました。 それが時間の経過と共に、「ピックアップに掲載されるようなお弁当を作りたい」という憧れの対象になり、掲載されることが「日々のお弁当作りのモチベーションになる」という声を多く頂くようになりました。
追加で実施した対応
トップ画面への掲載がお弁当作りのモチベーションになる、嬉しい事としてユーザーが捉えるようになってきたので、ピックアップに選出されたユーザー宛にメールをお送りするようにしました。これによって、ピックアップ掲載という嬉しい出来事をユーザーが見逃さないようにしています。
4.クックパッド本体の活用事例が増加
レシピが紐付いたお弁当の投稿が増加
アプリリリース当初は、レシピが紐付いていないお弁当の投稿(写真だけなど)が大半でしたが、利用者が増え「日々のお弁当を共有する場」として定着してくると、お弁当の写真と共に参照したクックパッドのレシピを投稿する方も増えてきました。
- 美味しかったレシピを他の人にも教えたい
- 憧れのお弁当のレシピを作ったから報告したい
- 自分のオリジナルレシピを見て欲しい
レシピを紐付けたお弁当を投稿する思いは様々あるようですが、こういう状況の中で、クックパッド本体サービスへの関わり方にも少しずつ変化が出てきました。 お弁当を公開しているユーザーのうち、つくれぽを送ったことがある人の割合は、リリース当初の25%前後から40%前後へと増加、レシピ投稿に関しては19%前後から30%前後へと、それぞれ増加しており、投稿することに積極的になってきている状況が伺えます。
追加で実施した対応
レシピやつくれぽを投稿することは、お弁当の記録の一環であり、モチベーションにもつながるため、よりスムーズに投稿できるように、みんなのお弁当アプリから直接つくれぽを送れるようにしました。 (右上・自分のお弁当詳細画面に導線を設置)
機能リリース後は、今までつくれぽを送ったことがなかったユーザーがつくれぽを送るようになったりと、順調に利用されています。
まとめ
人が集まると、機能自体は変わっていなくても、その使われ方や位置づけが変わったり、新たな課題が生まれたりします。 いち早く変化を察知するために、まずは自分自身で日々サービスを使い、変化に気づくことが大切です。その後、必要に応じて解析ツールを使って分析を行い、数値の裏付けを取って施策を検討するのですが、全てのニーズに応えようとはせず、コンセプトやペルソナをもとに実施する対応についてはきちんと優先順位付けし、時に対応を見送ることも重要です。
クックパッドでは、このような感じで一緒にサービスを成長させていきたい人を募集中です。ご興味のある方は、是非とも覗いてみてください。
*1:ユーザーは、お弁当を投稿する際に公開か非公開かを選択することができ、投稿数はその合計です。