こんにちは。エンジニアの河邉です。
クックパッドにはHorizonという新卒3年目までの若手エンジニア・デザイナーにグローバルな環境で働く機会を与えて成長の後押しをしてくれる海外出向研修プログラムがあります。
詳細は英国派遣プログラム「Horizon」 責任者に聞く制度への思い(前編)を御覧ください。
2021年4月にクックパッドに新卒入社した私は、この制度を利用して2021年末にイギリスに渡航し、2022年1月から6月までの半年間ロンドンから電車で2時間ほどのブリストルにあるグローバル本社でiOSエンジニアとして働きました。
今回はその体験談をお届けします。
グローバルクックパッドについて
クックパッドは現在74の国や地域に32言語でレシピサービスを提供しています。 日本以外の地域で提供しているサービスはイギリスのブリストルにあるオフィスで開発されています。
Horizon参加の流れ
2021年の夏、Horizonの実施が社内ブログで告知されました。 私が参加を決めた理由は大きく分けて2つあります。
1つめは、グローバルクックパッドのサービス自体に興味があったからです。 私はクックパッドに入社する前からコミュニティサービスの開発に興味を持っていました。 もちろん日本のクックパッドや私がプログラム参加前まで開発を担当していたcookpadLiveにもユーザー同士のコミュニケーションは存在するのですが、グローバルクックパッドは現状いわゆるSNSチックなサービスの設計がされていて、ユーザーのコミュニケーションがより重視されたサービスだなと思っていたので、開発に携わってみたいと思いました。
2つめは、異なる文化や言語を持った多様なメンバーと一緒に働いてみたかったからです。これまでグローバルな組織でエンジニアとして働いた経験がなかったので人生経験として一度は挑戦したいと思っていました。
仕事内容
クックパッドグローバルのエンジニア組織は機能開発をする「プロダクト」、基盤の開発をする「プラットフォーム」と大きく2つに分かれています。
私はまずアプリの全体像を把握するためにグローバルモバイルプラットフォームチームという基盤の開発をするチームに入りました。 そこで最初に拾ったタスクがiOSプロジェクトへのOpenAPIの導入でした。
具体的な業務内容は別ブログでご紹介していますのでよかったらご覧ください。
当初の予定では初めの3か月プラットフォームチームで働いてその後プロダクトチームで働きたいとバディ*と話していたのですが、結局このプロジェクトが楽しくなってしまい5か月以上プラットフォームチームで働いていました。
*入社してから数か月は同じ領域のエンジニアがバディとして付いてくれる。
6か月目にプロダクトチームのiOSエンジニアの退職に伴い、まだまだプラットフォームでやりたいこともありましたが、良いタイミングだったのでプロダクトチームに異動させてもらいました。
プロダクトチームはタイムラインを担当するチームや検索を担当するチームなど、基本的に機能ごとに1つのチームが編成されています。 私は検索機能の開発を担当するチームでiOSアプリの実装を担当することになりました。 私のチームでは週に1度イテレーションプランニングというミーティングがあり、ここで1週間のチームのタスクを決め、毎朝軽い進捗共有のミーティングをしています。
プロダクトチームに移ってから面白いなと感じているのは、主に2つあります。
1つは、ある機能のA/Bテストを行う場合にどの地域で実施するのかという議論があることです。この国では、〇〇な使われ方をしているから、〇〇のデータを持っているから、既に〇〇をリリースしているからなど、それぞれの国でのサービスのステージの違いや宗教的な行事の有無などによって機能の出しわけをするのは、多様な地域にサービスを提供している実感を持てて興奮します。
2つめはチームに専属のデータエンジニアがいることです。これは日本とグローバルの違いというよりは組織の違いでしかないのですが、グローバルクックパッドでは基本的に1つのプロダクトチームに1人のデータエンジニアがいて、A/Bテストをはじめとしたさまざまな施策の進捗を客観的な数値として報告してくれます。
日本にいたときは数値の測定も自分でする場合が多く、調べきれない部分もあったのですが、データエンジニアが付いてくれていることで自分達がやっていることに対する納得感が数値としてより正確に得られるのは、異なる母国語や文化を持つメンバーで構成されているチームでは特に重要なのではないかと感じています。
成長
まず技術面では、私は基盤的な開発をした経験がこれまでになかったので、長期間に渡って1つの大きな改善に取り組めたのは自信に繋がりました。 その過程でCreateAPIというOSSの改善に初めて加わることもできました。 プロダクトチームに異動してからはチームのiOSエンジニアとして工数見積もりの精度や実装スピードを週を追うごとに少しずつ向上できている実感があります。
これらの成長実感は日本とグローバルでの違いではなく仕事内容の変化によるものですが、6か月という限られた期間を別の組織に出向して、それまでと異なる働き方やプロダクトの開発に関わることのできるのはHorizonの魅力と言えると思います。新卒で入社してからの1年間で、複数の組織で複数のプロダクト開発に関われたことはとてもありがたいことでした。
グローバルで働くということならではの成長としては、日本にいるときよりもより簡潔に議論を展開できるようになったことだと思っています。もともと喋りながら考えてしまうタイプでまとまりのない主張をしてしまいがちだったのですが、英語力の問題もあり、より結論ベースで簡潔な主張をするようになりました。
また今回1歩海外へ踏み出したことによって将来の自分のキャリアへの展望が大きく広がったと強く実感します。海外で英語を使って働くことができるという自信と、同僚の多種多様な来歴を聞いて、今後も海外で働くなど、日本にいたときには考えられないような将来の選択肢を考え始めるようになりました。
私はHorizonプログラムの終了後、グローバルクックパッドの選考を受け、転籍することにしました。クックパッドをもっとたくさんの人に世界中で使われるサービスにしていきたいですし、個人としても今後も日本だけじゃなくていろんな国で活躍できるようになっていきたいです。
生活
まとめの前に生活面の経験についても少しご紹介させていただきます。
現地に到着してまず取り組んだのは友達づくりでした。思い切って参加した家の近くにあるダンス教室で友達をつくることができました。これまでダンスをしたことはなかったし、かなり勇気のいることでしたが飛び込んでみてよかったと思います。会社外でも友達をつくることで仕事から完全に離れてリフレッシュする時間を楽しめました。
またイギリスからヨーロッパへは飛行機で安く行けるので、スイス、フランス、オーストリア、スロヴァキア、スペインに週末や有給をつかって観光に行きました。あまり遠く離れていないにも関わらず、それぞれの地域で言語や食などの文化の違いを大きく感じられるのは、ヨーロッパに住む大きなメリットだと感じました。
まとめ
グローバルクックパッドを開発したい、海外で働いてみたいという2つの思いを持って参加したプログラムでしたが、1つめのサービス開発という面では挑戦しきれなかったというのが正直なところです。ほとんどの時間を基盤系の仕事に使ったことも理由ですが、プロダクトチームに移ってからもまだ毎週のリリースサイクルに付いていくのが精一杯です。これからもっとスピードをあげてiOSエンジニア領域外の仕事にも手を出して行きたいと思っています。
次に2つめの目的だった海外でグローバルな組織で働くということについては、本当に経験してよかったと思っています。同僚との何気ない会話の中からカルチャーショックをもらったり、仕事終わりのパブでいろいろな人生観を知ったり、そういった刺激がとても心地よくて同僚と会話することを楽しみに会社に行っています。
ただ「毎日の料理を楽しみにする」という共通の目標を持っている人間同士、同じである部分も多く感じられました。 日本にいてメディアなどを通じて伝わってくる「違い」だけではなく、「同じ」であることも多く実感できたことは、これから先グローバルに働いて生きていく上でとても重要な感覚を得られたなと思っています。
Horizonプログラムはクックパッドに新卒で入社する最大の魅力の1つだと思います。また中途入社でイギリスで活躍している方もいらっしゃいます。ご興味があればぜひご連絡ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。