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在宅勤務環境の継続的改善

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コーポレートエンジニアリング担当 VP の @kani_bです。 新型コロナウイルス感染症の拡大リスクを鑑みて、従業員や関係者の皆さまの安全確保を目的に、クックパッドでは 2/18 (火) から、国内拠点の全従業員(正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員、通常在席の業務委託)を対象に在宅勤務の原則化を実施しています。現在は5月末まで継続する予定としています。

クックパッド、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う在宅勤務(Work from Home)を5月末まで継続のお知らせ | クックパッド株式会社

また、クックパッドでは、今の状況にあわせた、料理に関する様々な取り組みを進めています。そうした取り組みを集めたページをオープンしていますので、こちらもぜひご覧ください。
私たちは、料理でつながろう | クックパッド株式会社

さて、在宅勤務が開始された 2 月に、在宅勤務に対する取り組みについてブログ記事で紹介しました。早いもので、在宅勤務開始からすでに2 ヶ月が経過しました。1 年のうちの 1/6 を在宅勤務で過ごしたことになります。
クックパッドの在宅勤務環境 - クックパッド開発者ブログ

この記事では、先ほどご紹介したような様々な取り組みを支える、在宅勤務のための体制づくりについて、前回の記事からのアップデートをご紹介します。

設備やシステムの改善

在宅勤務が長期化するにつれて、短期的には許容されていた課題を解決していく必要が出てきました。 まず、設備やシステムに対してどのような改善を行っているかを紹介します。

オフィスチェア・オフィスデスクのレンタル

まずはじめに課題となったのは、自宅環境に在宅勤務に適した椅子や机がなく、座椅子やベッドなどでの作業を余儀なくされている例が多く存在することでした。 机はもちろんですが、椅子は特に生産性、そして心身の健康に大きく影響します。 そこで、2 月末に在宅勤務の延長が決定された段階で、オフィスチェアやデスクを会社負担にてレンタルし、各家庭に配送することにしました。 ちなみに、購入ではなくレンタルとしているのは、購入と比較して少ない費用で多くの従業員により良い椅子を届けられることや、在宅勤務終了後に居室の現状復帰が可能である (そもそも机や椅子などを置くことを想定していない場合が多い) ことなどを考慮しています。

このほかに、オフィスで利用しているモニターについても希望者には各家庭へ配送しているため、オフィスに近い環境をつくることができるようになりつつあります。

写真にある左の机は、会社から送付しているモニターと、実際にレンタルしたデスク・チェアを配置したものです。 f:id:kani_b:20200422031107j:plain

インターネット環境の改善

前回の記事でも紹介しましたが、クックパッドでは在宅勤務開始当初より 4G 回線を使ったモバイル Wi-Fi ルーターを貸し出し、テザリングの利用を前提に社用の携帯電話などを活用していました。 しかし、遠隔会議や業務によっては画像・動画のやり取りが多く、契約している通信容量を大幅に超過してしまう例や、そもそも帯域幅・レイテンシーが要件に見合わないケースが出てきました。 まずできる対応として、 4G 回線ではなく WiMAX2+ を利用できるモバイルルーターを用意し、随時交換を行ってきました。しかし、環境による速度差が大きいだけでなく、大容量なデータ通信を行う従業員の業務は相変わらずサポートするのが難しい状況にあります。また、モバイル Wi-Fi ルーターの新規調達も需要増大により難しくなってきました。

そのような状況を受け、各家庭にできる限り、いわゆる固定のインターネット環境を用意していただくのが、今後の対応長期化などを見込んだ上では最適と考えました。 そこでまず、在宅勤務を機に自宅にインターネット環境を用意する従業員に向け、工事費や契約事務手数料などの初期費用を負担することにしました。スムーズな利用開始のため、必要に応じてコーポレートエンジニアリング部 (ヘルプデスク) にて開通までの事務手続きや技術サポートを行うことにしています。

また、すでに家庭にインターネット環境があるものの、Wi-Fi 環境が良くなかったり、そもそも接続先 ISP がキャパシティ不足に陥っていたり… という例もあります。そうした方に向けては、社内 Wiki, ドキュメンテーションツールとして使われている Groupad に、Wi-Fi 環境の見直し方や有線 LAN 接続への切り替え方を案内する記事を書いたり、 Slack 内のあちこちでインターネット環境に詳しいエンジニアたちがコミュニティベースのサポートを行ったりしています。

契約書の電子化

この状況下においても安全に企業活動を進めるためにも、可能な限りの電子化に努める必要があります。すでに日本中でも多くの議論が起こっていますが、クックパッドにおいても、契約書類について全面的に電子サインを利用することとしました。 グローバル対応の必要性などから、 DocuSignを利用しています。こうした電子化の動きは、一社だけでなくできるだけ多くの方々にご協力いただくことではじめて成り立ちますので、クックパッドとのお取引がなくとも、ぜひご検討いただけますと嬉しいです。

Zoom Webinar の利用

コミュニケーションツールとしての Zoom 利用については前回のブログに書いた通りですが、全社ミーティングのようなイベントには Zoom Webinarを用いています。 配信者や利用者が普段利用している Zoom クライアントの操作感のまま利用できることはもちろんですが、現在ベータ版として提供されている言語通訳機能がよく活用されています。 この機能は、通訳そのものを行う機能ではなく、通訳者の方が発言者の発言を聞きながら通訳用の音声チャンネルに通訳音声を流すことのできる機能です。 クックパッドには、日本語を話す日本人だけでなく、業務に英語を使う従業員も多数在籍しています。これまでも全社ミーティングなどではレシーバーを用いた同時通訳を提供していました。この機能を利用することで、Webinar 環境においても、利用者側では言語選択をするだけで、同時通訳音声を聞きながら発表を見ることが可能になります。通訳者の方にも遠隔から協力をいただき、誰ひとりオフィスに来る必要なくこのような環境を実現できています。

また、全社ミーティングを Webinar に切り替えたことにより場所の制約がなくなりました。これによって、各自が見やすい環境で視聴でき、音声も聞き取りやすく、質疑応答やその後のフォローアップもしやすくなっています。結果として、オフィスでの全社ミーティングよりも参加者が増加しています。

勤怠システムの Slack 対応

在宅勤務期間中は、勤怠システムへの勤務時間登録を、システムにログインした上で行う必要があります。在宅勤務開始から様々な部署の Slack チャンネルを眺めていたところ、多くの人が勤怠システムに勤務時間を登録した上で Slack に出退勤を知らせるといったことをしていました。 出退勤の報告にはカスタム絵文字が主に使われていたため、絵文字の発言に反応して勤怠システムに打刻を行う bot を開発することで、出退勤の連絡を Slack に書き込むだけで、報告と同時に打刻を行うことができるようになりました。 f:id:kani_b:20200422031245p:plain

ツールの使い方に関する情報発信

課題解決のためのツール導入は解決の入り口でしかなく、「ツールをどう使うか」という文化形成によって解決されることがほとんどです。 在宅勤務の原則化によって、特にコミュニケーションツールを中心に、ツールの使われ方の傾向が変わってきました。それに伴っていわゆる「Slack 疲れ」といった、コミュニケーションへの新しい疲労も起きつつあります。 現在の環境や会社に合ったコミュニケーションの形を模索するため、ツールの使い方についても積極的な発信やそれをもとにした議論を行っています。以下にその一部を紹介します。

  • 「Slack 疲れ」の軽減
    • 「通知を受け手がコントロールする」「正しくメンションを使う」「即レスを期待しない」といったある種のコツがあると考えられる
    • Do not disturb (おやすみモード) の活用や Activity タブの利用などについて解説
    • 先日リリースされたチャンネルのセクション化についても解説
  • 「遠隔会議(Zoom)疲れ」の軽減
    • 部屋の概念がない遠隔会議ではミーティングが延びやすいため、Google カレンダーの会議迅速化オプションなどの活用
    • 気分によってカメラをオフにして話す
    • 在宅勤務を行う上で重要な家族との関係を保つためにも、お子さんが入り込むといった場面をみんなで許容する

社内外でのナレッジシェア

環境改善の他にも、在宅勤務そのものや在宅勤務における仕事をよりよくするためにできることを積極的にシェアして共有しています。公開されている記事について、簡単に紹介しておきます。

ほかにも、

  • 営業を担当する社員によるオンライン商談・お客様向けセミナー実施の Tips
  • 各家庭での料理の情報
  • マイクやカメラ、デスクを整理する便利グッズなどの情報
  • リングフィットアドベンチャーの販売情報

など、様々な情報が Groupad や Slack で共有されています。

おわりに

クックパッドの在宅勤務環境は、このように、環境面の整備だけでなく、社員ひとりひとりの積極的な情報共有文化や、助け合いに支えられています。全員が等しく在宅勤務をする、という経験のない状況を、様々な議論を交えながら少しずつ改善しています。 今回、そして前回の記事もあわせて、打ち手に悩まれている方にお役に立てば幸いです。

また、今回ご紹介したような環境を一緒に支えていくコーポレートエンジニアをはじめ、エンジニアに限らず様々なポジションにて積極的な採用を続けています。採用情報サイトも合わせてぜひご覧ください。

質問がありましたら@kani_bまでお気軽に。


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