こんにちは、Cookpad TechConf 2016 実行委員長*1の小川です。
先週の土曜日の2016/01/23、クックパッド初となる技術系カンファレンスCookpad TechConf 2016を開催しました。staffblogの方でも報告させていただきましたが、開発者ブログの方では発表内容の紹介をしたいと思います。
基調講演: ユーザーのために、技術をどう活かすか by 舘野 祐一
まず最初は基調講演で、弊社CTO舘野さんによる発表です。ユーザファーストのためにクックパッドがどのように技術を活かしてきたのか。例えば仮説検証や効果測定を手軽にできるようにするためにどうしてきたのか。またエンジニア組織としてユーザファーストを支えるにはどうあるべきか、どうやっているのかについての話もありました。
おでかけスポット検索のむずかしさ - Holiday を支える検索技術 by 内藤 雄介
次はホリデー株式会社の内藤さんが、位置情報の検索についてHolidayではどのように改善しているのか、Elasticsearchでの実例を交えながらの発表でした。例えば中目黒という地域について、単に語句で検索しただけでは地名がヒットするが、人が認識している中目黒の範囲と異なるなど、いろいろな問題を解決するためにやってきたことなど苦労が伺えます。
Railsアプリ開発環境の高速化 by 国分 崇志
次は国分さんによる、開発環境の高速化の話です。御存知の通り、クックパッドはRailsアプリケーションですが、世界的に見ても大規模なものになっています。これだけ大規模にもなるといろいろと調整をしないと開発環境もとてつもなく遅くなってしまい、開発効率が大きく下がってしまいます。この困難に対して挑戦し続けてきた内容がまとめられていました。
R&D at Foodtech company by 有賀 康顕
休憩を挟んで始まったのが、有賀さんによるクックパッドでの研究開発についての発表です。NIIでのデータ公開や研究開発を進めるために結成されたチームの紹介など、クックパッドが学術分野で活動していることが紹介されました。特にクックパッドならではという点では、食文化研究やヘルスケア領域など食の領域への学術貢献をしているところが特徴的だと思っています。
技術力を事業の強みするために必要なこと by 大野 晋一
次は若干毛色が変わって技術を事業にしっかり活かすためにはどうすればいいかについて、大野さんの発表です。事業を進めるためにエンジニアができること、やるべきことについて論理的にかつ構造的に説明されました。「わかっているつもり」になっていることが大野さんなりの言葉で明確に示されました。いまあるビジネスをどのように成長させるのか、そこにエンジニアとして技術をどのように活かすのかについてがわかりやすく示されていました。
開発した新技術から、新しい価値を作るためのクックパッド検索チームのプロダクト開発手法 by 五十嵐 啓人
続いては五十嵐さんによる技術をどうプロダクト開発に活かすべきか、そのクックパッドでの手法についてのお話です。技術を製品にし、それをユーザに価値として届けることはよく考えられることですが、それだけではユーザさんに価値を届けられない可能性があることを、実例を上げて紹介されています。ユーザさんの欲求から製品を考え、そこに技術を適用するという、クックパッドのやり方が紹介されていました。
「今日なに作ろう?」を支えるデザイン by 木村 真理
休憩を挟んで続いたのは、デザイナーの木村さんによるデザイン面からサービス開発を支えるお話です。デザイナーとしてサービス開発に対してどのように関わっていくのか、プロトタイピングとデザインフレームワーク、デザインレビューについて、実例を交えながら紹介しています。クックパッドではデザイナーのみならず、 ディレクターやサポートの方もGitHubのissueを使ってやりとりをすることが多いのですが、もちろんプロトタイピングやデザインレビューにも利用されています。 あとデザインフレームワークを用意して、基本的なデザインであればすぐに実装できるようになっていることも開発者としては非常に助かっています。
確かめながら作るユーザー体験 by 出口 貴也
続いては出口さんによるサービス開発に関する発表です。しょっぱなからサービス開発は難しいという発言がある通り、開発を続ける上でいろいろな困難が立ちはだかります。そんななか、クックパッドがどのようにサービス開発を進めるのか、どの段階でどのように意思決定するのかを紹介しています。
モバイルアプリのインタラクションプロトタイピング by 多田 圭佑
そして次は多田さんによるモバイルアプリ開発のプロトタイピングのお話です。ユーザさんにいかに早く、価値あるものを届けるか。早く何度も仮説検証を繰り返すためにクックパッドではどのような手法を用いているのかについて、Holidayでの実例を交えながらの発表でした。必要に応じてプロトタイピング手法自体を変更することで、検証したいことを明確にできることが示されていたと思います。
モバイルアプリ開発の"標準"を探る by 藤 吾郎
最後の休憩を挟んで、藤さんによる発表です。クックパッドは多くのユーザさんに使って利用していただいていますが、最近はアプリからの利用が増えてきています。そんな状況で安定して開発・運用することが求められており、それに対してクックパッドのモバイルアプリエンジニアがどのように取り組んできたかを紹介しています。そこでクックパッドが考える標準的なモバイルアプリ開発について、実例を上げながらいろいろな面からのお話でした。
DWHに必要なこと by 青木 峰郎
次は青木さんによるデータウェアハウス(DWH)についての発表です。クックパッドも規模の大きなサービスですので、PVやユーザさんの行動記録など様々なデータが蓄積されています。これらのデータを使って新しい価値を生み出すべく分析・解析をするのですが、そのためにもDWHの構築は不可欠です。構築する上で気をつけること、考え方などが発表されていました。
基調講演: クックパッドの継続的な成長のために開発と運用が何をしてきたのか、その失敗と成功について by 成田 一生
最後の発表はクックパッドインフラストラクチャー部の部長である成田さんです。クックパッドの成長のために、我々がどのように開発・運用してきたのか、失敗談も上げつつ紹介しています。例えば「全部書き直したい!」と思うときがあるのが世の常ですが、ではそのときにどう進めるべきか。サービス分割をするときに成功した事例を元に、どのように進めていったのかなども紹介されていました。事業も組織も変化し、開発も継続するなかで、どのように品質を保ち続けるのか、何を考えて行動すべきかが発表の中で示されていました。
まとめ
このようにエンジニア組織のあり方から、技術的なトピック、研究開発や事業への取り組み方、またプロダクト開発に関することまで、幅広い領域の発表を取り揃えられたと思っています。当日来場された方はお楽しみいただけたでしょうか。また惜しくも落選した方は、こちらで雰囲気を感じ取っていただければ幸いです。
実行委員長としては、このようなイベントは定期的に開催したいと思っています。SNS経由でも結構ですので、ご意見・ご要望などいただければ幸いです。
*1:技術部部長でもあります